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「レオニー」法務担当 弁護士・近藤早利さんインタビュー (前編)

日米合作映画『レオニー』は、
角川シネマ新宿ほかでただいま全国公開中です。

さて、みなさんは、映画にかかわる人というとどんな仕事を思い浮かべますか?
すぐに浮かぶのは俳優さんたち、もちろん監督も。
そして撮影、照明、衣裳、音楽といった製作スタッフの方たち……。

マイレオニーブログでは、これまでも、
プロデューサーの伊藤勇気さんインタビューなど、
スタッフサイドの声をお届けしてまいりました。

すぐには思い浮かばないかもしれませんが、
なくてはならない重要な下支えをしてくださっているのが、
契約その他、様々な法務を担当する弁護士さんです。



「レオニー」の法務を担当した第一中央法律事務所
近藤早利さん、西尾優子さん、野村麻衣子さんたちにお話を伺うため、
当ブログ編集長shiori、今回は撮影も担当のwakkiは、
その名の通り中央区日本橋の事務所におじゃましてきました。

映画の法務という想像のつかない分野だけに、私たちはちょっぴりドキドキ。
でも、契約書の一部である数10センチにも及ぶファイルとともに、
気さくな3人の先生方は笑顔で待っていてくださいました。

ちなみに、近藤先生と野村先生は「レオニー」にエキストラで出演されています。
中編で登場するそのお話も合わせてお楽しみください。


日米の違いは法務にも

―― 映画に必要な法務ってどんなものですか?


近藤 すべてものが動くところ、お金が動くところ、サービスが動くところには法律があるわけです。
みなさん、日常生活で意識されてるかどうかわかりませんが、コンビニでものを買うのだって、その場でお金を払ってものを受け取る売買契約という法律の即時履行なわけで、バスに乗れば旅客運送契約なんです。

だから映画に関しても、何かが動く時にはすべて契約関係が実はあるはずなんですが、アメリカと日本ではずいぶん文化の差があって、アメリカは何もかも完全に記述しつくす文化ですが、日本はめちゃくちゃ“なあなあ”なんですよ(笑)。

簡単なメモでもあればいいほうで、口約束だけということがよくあるし、紙きれ一枚あったとしても、弁護士なんかは目を通していない、業界で何となく使われてきたメモ書きみたいなもので、それだけで動いてるところもけっこうあるんですね。

それは置いといて、まず必要なのが出資者の方との契約です。
映画製作のためにお金を出していただいたら、それをどういう段階でどう還元するか。
複数の出資者がいらっしゃれば、それぞれの関係をどうするかという調整もある。

そうして集めた資金をつかって映画をつくるとなれば、原作者、脚本家、プロデューサー、監督、出演者やスタッフの方々と、どういう条件で何日間拘束し、何をしてもらうか、その対価はどうなるか、ということを文書にします。


撮影先行、契約は後から

―― アメリカ側との折衝は?


近藤 アメリカ側の法務は、我々が直接関わったのではなくて、アメリカ側のプロデューサーのジョイス・ジュンさんがとりまとめておられたものと思います。ジョイスさんがまとめた文書がこちらに来て、それを日本の契約書に反映させる作業がありました。英語の部分は西尾が担当していたので、彼女に話してもらいましょう。

西尾 今回は、プロデューサーとの契約が完全に固まってからいろいろな作業が始まったわけではなく、ギリギリまで並行してやっていたので、実際の作業が先行してるという点では、アメリカサイドも日本っぽかったんじゃないかと思います。

契約事項が決まらないまま撮影が始まってしまい、終わりそうな頃にようやく固まってくるというか。

最終的に本当にどういう内容で決まったかということを、日本サイドとしてはあまり把握できてなくて、よくわからないうちに進んでいたり……(笑)。

近藤 では、そういう日本サイドのことを野村から話してもらいます。


野村 関係者の間でざっくりとした話で進んでいて、信頼関係に基づいて進んでいたことを、いざ契約書に落とし込もうとすると、ご本人たちが意識していていないさまざまな問題が浮上してきて、あわてて関係者に集まってもらって文書化する、そのための協議が若干大変でした。

それと、アメリカはアメリカの弁護士が執り仕切って、たくさんの関係者とたくさんの契約書をやりとりし、日本のことはこちらで……と、別々のやりとりでしたから。アメリカサイドのことをこちらが把握するのが、まず第一段階の苦労でしたね。




最大出資者の後ろ姿に手を合わせる

―― 具体的に、日本サイドで最も大きな仕事は何でしたか?

近藤 最大出資者の方との契約ですね。

その方との間では、監督の熱意と才能に共感して「応援しましょう」と言ってくださったことが先行しているわけで、それが何々契約だとかいうのは、後で決めようということで進んでいるわけです。
先にお金は動いちゃってるわけですよ。
契約書があっての振り込みではなく、お金が振り込まれてからこれをどうしようと言って、契約書にしていったんです。

しかも、その額は、撮影しているうちにだんだん増えていくにも関わらず、こころよく支援を続けてくださった。
監督側の弁護士として言えば、もう、本当にありがたいと感謝すべきことで、我々は出資者の方とミーティングを終える度に、去って行く彼の後ろ姿に手を合わせて拝む……という感じでしたね(笑)。

普通は映画監督って、アートの部分に集中していればいいわけですよ。でも、レオニーの場合は、松井監督がアートの部分はもちろんのこと、お金集め、人集め、法務、会計、税務、パブリシティなどビジネス面についても、何からなにまで把握して最終決定をなさっています。
でも、体はひとつしかない。
だから、我々は、法律事務所の役目を超えて、日本サイドのビジネス面をとりまとめて、監督にできるかぎり判断しやすいように情報を整理してお伝えすることに心を砕きました。
特に監督がアメリカで撮影中は、そうでしたね。


このお話は、欧米とはあまりに異なる日本映画界のエピソードが語られる中編へと続きます!


| shiori | 映画 『レオニー』 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2010/12/09 2:46 AM posted by: shiori
近藤先生、西尾先生、野村先生、
大変お世話になりありがとうございました。
お忙しいのに取材にご協力いただき、心から感謝いたしております☆
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