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伊藤勇気プロデューサー ロングインタビュー(8)

第8回 エミリー、撮影中にご懐妊!



自分にだけ伝えられ「誰にも言わないで」と

勇気 日本の撮影では、特に僕はエミリーにずっと付きっきりだったんですけど、高松あたりだったか、つくばのワープステーションで言われたんですが、エミリーから「誰にも言わないで。妊娠しています」と。

―― それって契約違反ではないんですか?

勇気 そんな……、妊娠しちゃいけないなんて、そんな契約はないけど。できない演技が出てきたら、それは仕方ないんじゃないですか。
でも、彼女は本当はしたくないこともあったんじゃないかと思うけど、シナリオ通りに全部やってくれたわけです。その時は。

―― じゃエミリーは、どんなハードなシーンもやるつもりで「勇気さん以外には誰にも言わないで」って言ったんですね。

勇気 そうですね。本人は「どんなシーンもやる」ということを、一番気にしていたし。でももし何かあった時には助けて欲しいと。

―― エミリーの役者魂もすごいものがありますね。いつ妊娠がわかったんでしょう。

勇気 アメリカの撮影が終わって日本に来るまでに2週間あったんですよ。僕たちはひと足先に日本に帰って来て、撮影準備をしていたんですけど、その間にわかったみたいです。

―― そういう意味では、エミリーにとっても記念碑的な映画になるでしょうね。

勇気 まさにそう。彼女に5歳の息子さんがいるんですけど、これから生まれる子が5歳下だから、まさにイサムとアイリス。それがたまたま女の子だったものだから、なおさらエミリー本人がレオニーみたいで。

まるでイサムとアイリスを産んだレオニーそっくり

―― 女の子ってわかってたんですか?

勇気 その時はわかっていなかったんだけど、「絶対、女の子だよ」って僕が言ったんですよ。そう感じたし(笑)。
で、息子がサミュエルって名前だからサムっていうんだけど、ずっと「レオニー」やってる間、イサムだから「サム、サム」って呼んでたんですね。
だから彼女に、「生まれて来る子はアイリスじゃなくて……」って言ったら、「アリスにしようかな」って言ってました。
先日1月16日に無事生まれたんですが、名前はメイ・ローズという名前だそうです。

でもとにかく僕も誰にも妊娠のことを言えない。けど何かあった時に、彼女が「これはできません」と言ったらいろいろ考えなきゃなと思いながらも、本人がどうしても伝えたくない、監督をはじめ、スタッフのみなさんに心配させたくないと。でも、何かあると困るから、「あなたにだけは伝えるから」と。
やっぱり身重の体だと思うと、こっちもいろんなところで気になっちゃうじゃないですか。「今日は大丈夫?」とか。

最初は「Congratulation!」って感じでしたけど。でも、よくよく考えてみると、これ、けっこう問題なんじゃないの? 主役だぜ! みたいな(笑)。

―― 今だから話せるお話ですね。エミリー、がんばったんですね。

勇気 がんばりましたね。妊娠がわかったからこそ、家族にまわりにいてほしかったというのがあって、家族を日本に呼んだのでしょう。息子さんもね。
でも映画からすると、アイリスがお腹にいるシーンなんて本当の妊婦なわけだから、そんなの撮れないですよ、普通は。

だから、松井としても「私の……」という作品だけど、エミリーからしてもそうだと思います。いつでも彼女の生まれた時を思い出す時には、この作品がエミリーの中にあるわけだから……。

―― 生涯の1本でしょうね。「この時、あなた一緒にいたのよ、お腹の中に」って。

勇気 そうそう。いろんな意味で、思いが深いものになるんじゃないかなと思います。

監督に伝えたのはエミリーの帰国後

―― その妊娠のことは、いつ監督に伝えたんですか?

勇気 彼女が帰国してから。

―― 本当に約束を守ったんですね。

勇気 守りましたよ。だから、打ち上げの時も監督は知らなかった。僕は「言え」って言ったんですよ、エミリーに。クランクアップの挨拶の時に言えって。「実は……」って言って、「みんなのドギモを抜いちゃえ」って(笑)。
けど、その場になったら、本人はやっぱり自分のプライベートなことをこういうふうな場で言うのは遠慮しようと思ったみたい。それで言わなかったんです。


―― 約束を守った勇気さんも偉いし、黙り通したエミリーもすごい。


勇気 言えないですよ。本人は、監督に気遣われるのがいやだったんじゃないでしょうか。監督に、自分の演技をセーブさせてしまうことは避けたかったんでしょう。

エミリーの息子サムも出演予定だった!

―― いいお話ですね。そういうことも含めての撮影なのかと思うと感慨深いです。その後が、北海道でラストシーンの撮影ですよね。

勇気 実は北海道で初めて、エミリーの息子のサムをエキストラの子供たちの中に入れようということになったんです。みんな日本人の子供だから、一人だけ金髪の男の子がいても、洒落ていておもしろいんじゃないかと。また、サムがすごく可愛い子なんですよ。

それでリハーサルの時に、ジャングルジムのここの穴から出て来て、ここにもどって来てっていう指示を出したんです。
それで「ヨーイ、スタート!」って言ったら、最初はできたんだけど、「OK、OK。今度こっち側を回って来なさい」なんていろいろ指示を出し始めたら、2回目から穴の中に入ったまま出て来なくなっちゃって。

その前日、「映画に出してあげる」って話したら、けっこう喜んでエキサイトしてたのに、指示を出されて1回目はケロッとしてやってたのが、2回目になったらちょっと穴の位置を変えたぐらいだったんだけど、ビビッちゃって。それでもう、みんなが「出て来い、出て来い」っていうからもっとビビッちゃって、結局、泣きながらやめちゃった……ということがあって(笑)。

―― エミリーはどういう反応?

勇気 逆に、「それでよかったんじゃない」って言ってました。彼の母親である自分も、彼の父親である夫も俳優だから、これであの年から「役者っておもしろい」なんて思われたら困っちゃう、って。

―― でも、サムが「レオニー」で映画デビューしてたら、さらにすごいことになってましたね。

勇気 おもしろかったのにね。でも、エミリーとは本当に縁があると思うので。

次回は、遡ってエミリーとの出会いから彼女の魅力、不思議な縁を感じるまでのドラマティックなエピソードを伺います。

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